「相続手続きを始めたいけれど、全部終わるまでどれくらいかかりますか?」
相続のご相談を受けていると、よく聞かれる質問のひとつです。
相続手続きといっても、不動産、預貯金、有価証券などそれぞれですべきことは異なってきます。
そのため「相続手続きは○日で終わります」と一律にお答えすることは難しく、また相続人の人数によっても必要な期間は大きく変わります。
一方で、どの手続きに時間がかかりやすいのかを知っておけば、早めに準備することはできます。
今回は、神戸市・三田市を中心に相続業務を取り扱う司法書士の立場から相続手続きにかかる期間の目安と手続きが長引きやすいケースについて解説します。
相続手続き全体ではどれくらいかかる?
比較的シンプルな相続で、相続人間の話し合いもまとまっている場合であれば、戸籍収集を始めてから相続登記等が完了するまで1~2か月程度で済むこともあります。
一方、
・相続人が多い
・兄弟姉妹や甥・姪が相続人になっている
・遠方に住んでいる相続人がいる
・預貯金の解約も複数ある
・遺産分割協議に時間がかかる
といった事情があれば、数か月かかることも珍しくありません。
大切なのは、「相続手続き」という一つの手続きがあるわけではないということです。
それぞれの工程にどのくらい時間がかかるのか、順番に見ていきましょう。
① 戸籍収集・相続人の確定
目安:数週間~1か月程度
最初に行うのが、戸籍等を収集して法定相続人を確定する作業です。
一般的な相続では、亡くなられた方の出生から死亡までの連続した戸籍などを確認します。
配偶者と子が相続人になる比較的シンプルなケースであれば、それほど時間がかからないこともあります。
一方で、時間がかかりやすいのが兄弟姉妹相続です。
例えば、亡くなられた方に子がおらず両親もすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹が相続人になることがあります。
この場合、亡くなられた方だけではなくその両親に関する戸籍まで遡って確認する必要があります。
さらに兄弟姉妹の一人が先に亡くなっていれば、その子である甥・姪が相続人になる場合もあります。
また、本籍地の異動が多い場合には複数の市区町村へ戸籍を請求する必要があり、これらの要因で戸籍収集が上記目安以上の時間を要することもあります。
② 遺産分割協議
目安:数日~数か月以上
相続手続きで最も期間を予測しにくいのが遺産分割協議です。
相続人全員が遺産の分け方についてすでに合意している場合には、必要書類がそろい次第遺産分割協議書を作成して署名・押印をいただくことができます。
反対に、
・実家を誰が相続するのか決まっていない
・預金をどのように分けるか相談中
上記のような状態であれば、その話し合いがまとまるまでは先へ進めません。
また、相続人が遠方に住んでいる場合には完成した遺産分割協議書を郵送して署名・押印していただくこともあります。
そのため、遺産分割協議に時間がかかるのは書類作成そのものよりも相続人全員の合意と書類の回収で時間を要することが多いです。
なお、相続人間で争いがある場合には通常の相続登記とは別の問題になります。司法書士が一方の代理人として遺産分割交渉を行うことはできませんので、必要に応じて弁護士への相談を検討することになります。
③ 相続登記
目安:書類がそろってから数週間~1か月程度
戸籍や遺産分割協議書など、相続登記に必要な書類がすべて揃えて法務局へ登記申請を行います。
ここまで来れば、相続人側で行う大きな作業はほぼ終了です。
ただし、申請したその日に名義が変わるわけではありません。
法務局による審査があり、混雑状況や申請内容によって完了までの期間は変わります。
また、必要書類に不足や記載の誤りがあれば「補正」となり、法務局との追加のやり取りが必要になることがあります。
当事務所でも、相続登記をできるだけスムーズに進めるため申請前の書類確認を特に重視しています。
なお、令和6年4月から相続登記は義務化されています。
時間があるときにやろうと何年も放置できる手続きではなくなりましたので、まだ相続登記をしていない不動産がある方は早めに確認しておきましょう。
④ 預貯金の解約・払戻し
目安:書類提出後、数週間程度~
銀行口座の相続手続きも、金融機関ごとに必要書類や処理期間が異なります。
一般的には、
・戸籍等
・遺産分割協議書や遺言書
・印鑑証明書
・金融機関所定の相続関係書類
などを提出し、金融機関側で審査が行われた後に払戻し等が行われます。
必要書類を提出してから数週間程度で完了することもありますが、金融機関の数が多ければそれだけ手続きも増えます。
ここで役立つことがあるのが法定相続情報一覧図です。
法務局で法定相続情報一覧図を取得しておけば、相続登記だけでなく金融機関などの相続手続きでも利用できる場合があり、戸籍一式を何度も提出する負担を軽減できます。
特に、不動産の相続登記+銀行2~3行の解約といったケースでは、最初から後続の手続きまで考えて準備しておくと進めやすくなります。
相続手続きが長引きやすい5つのケース
実務上、特に時間がかかりやすいのは次のようなケースです。
1.兄弟姉妹・甥姪が相続人になっている
取得する戸籍が増え、相続人の人数も多くなりやすいためです。
2.相続人が遠方に住んでいる
遺産分割協議書などを郵送する場合、全員分の書類が戻ってくるまで時間がかかることがあります。
3.相続財産がはっきりしていない
どこの銀行に口座があるかわからない、不動産が他にもあるかもしれないという状態では、財産調査から始める必要があります。
4.金融機関が複数ある
金融機関ごとに書式や必要書類が異なるため、一つずつ対応する必要があります。
5.遺産の分け方が決まっていない
手続きの問題ではなく相続人間の協議の問題になるため、半年以上かかることもあります。
早く終わらせるために大切なのは、最初の段取りです
相続手続きを早く終わらせるために、特別な方法があるわけではありません。
一番大切なのは、
①相続人を確定する(遺言書の有無含む)
②財産を確認する
③必要書類をまとめて準備する
④後続の手続きまで考えて進める
という段取りです。
例えば、不動産の相続登記だけを考えて戸籍を集めその後銀行手続きを始めたところ、銀行では別の書類が必要だったとなれば二度手間になります。
最初から、
・不動産がある
・銀行口座が2つある
・生命保険も確認したい
と全体像が分かっていれば、それを前提に準備できます。
司法書士へ相談するメリットも、単に登記申請をしてもらえることだけではありません。
相続手続き全体を見て、どの順番で進めるのが効率的なのか整理できることも大きなメリットだと考えています。
よくあるご質問
Q.四十九日が終わってから相続手続きを始めても大丈夫ですか?
A.四十九日を待たなければ相続手続きを始められないという決まりはありません。戸籍収集など、早い段階から準備できるものもあります。
Q.相続登記だけ先にすることはできますか?
A.必要書類や遺産分割の内容が整っていれば可能です。預貯金など他の相続手続きと並行して進められる場合もあります。
Q.10年以上前に亡くなった親の相続登記もできますか?
A.可能です。ただし、時間が経過するほど新たな相続が発生して相続関係が複雑になっていることがあります。早めに相続関係を確認することをおすすめします。
Q.自分で手続きするより司法書士へ依頼した方が早いですか?
A.相続関係がシンプルで必要書類もそろっていれば、ご自身で進めることも可能です。一方、相続人が多い場合や戸籍収集が複雑な場合、不動産が複数ある場合などは、専門家へ依頼することで書類不備や二度手間を減らせる可能性があります。
まとめ 「いつ終わる?」より「まず何をする?」を整理する
相続手続きにかかる期間は、案件によって大きく異なります。
比較的シンプルなケースであれば1~2か月程度で進むこともありますが、相続人の状況や財産の内容次第では数か月以上かかることもあります。
だからこそ、まず何から始めればよいのかを整理することが大切です。
神戸三田司法書士事務所では、神戸市・三田市を中心に、
・戸籍等の収集
・法定相続情報一覧図の作成
・遺産分割協議書等の作成
・相続登記
・ご依頼内容に応じた預貯金の相続手続き
など、相続手続きをサポートしています。
相続登記だけお願いしたいという場合はもちろん、何をどうすればいいのかわからないという段階でも構いません。
現在の状況を確認したうえで、必要な手続きと今後の流れをご案内いたします。
神戸市・三田市周辺で相続手続きについてお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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